真夜中のゆりかご観たよ!

真夜中のゆりかご [DVD]

何年か前に見たかった映画をやっと見れた。

ストーリーの感想としては誰かが絶対的に悪いっていうことでもないと思った。
だからこそ見ててすごく切なかったし、辛かった部分がある。

湖畔の素敵な一軒家、 安定した職業の旦那さんもいて、生まれたばかりの子供がいて誰もが羨むような理想的な環境で生活している女性。
けれども 心のどっかに何か誰にもわからない 彼女だけが抱える闇みたいなものがあって、 結局それで子供を死なせてしまった。

旦那さんは 奥さんの取り乱した様を 目の当たりにして、あとは自分の勝手な決めつけで善悪の境界線を越えてしまった。

もう一人の母親は 劣悪な環境で自分自身も悪い母親に見えるという自覚がありながら、 汚物に赤ちゃんを塗れさせながらも自分なりに愛情を持って育てようとしていた。

あまりに対照的で、でもどちらも母親の姿なのかもしれないと思う。
どちらも自分なりに愛していたことは、映像を見ていて伝わってきた 。

ただ主人公の奥さんは衝動的に 幸せを壊してしまったんだろう。
SOSを旦那さんにも誰にも伝えられなくて、赤ちゃんにぶつけてしまったんだと感じた。

でも、死なせてしまい、取り乱し、旦那さんにあんなことをさせて、結局、別の赤ちゃんを手にいれても、彼女は安定することなく、多分、自分がしてしまったことに対しての罪悪感に耐えきれなくなって、物語からいなくなってしまうのは女の身勝手さを表してるのかなぁと思ってみたり。
(旦那さんが勝手にしたことと言われたらそれだけだけど、あんな風に言われたら、そりゃそうするわと同情してしまう)

で、自分の子供は死んでいないとずっと主張し続けるもう一人の女性。これには女の本能と強さを感じた。
身体を売る仕事をしながら、ヤク中のチンピラと最悪の生活をして、服装もだらしなかったけれど、子供を返してと泣き叫ぶ彼女に目を離せない何か惹き付けられてしまうものがあった。

女の本能には子供を育てたいというのが本当にあるのかなっていうことを感じた。

あと映像的にすごいなと思ったのは、 あまり具体的な説明はないけれども台詞とかで登場人物がどういう状況だったのかとか、どういう心境だったのかというところがきちんと観客に伝わる点。

主人公の奥さん が 両親に愛されてなかったっていうのは 葬式の時のやり取りでわかるし、 そういう台詞とかを通して自然に観客に伝えられる 、説明はないけれどもみんな同じようなイメージを抱けるって言うのはすごいことだと思う。

自分達の赤ちゃんが死んでしまった本当の理由を知ってしまった時の主人公の絶望と無力感は想像を絶する。
だからと言って、主人公がしたことは許されることじゃないし 、全てを失うことになってしまったのは仕方ない。

ただ、最後はほんとうに救いがあってよかったと思えたし、これから主人公の生活がよいものになっていって欲しいと思えた。


初めてスウェーデン映画を見たけどすごく良かったと思った。
これだけの内容を140分で綺麗にまとめるってすごいと思う。
あの、少し冷たくて静かで綺麗な映像はかなり好みだった。

ただ何回も見るにはかなり重い。